2023.05.10 Wednesday

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    2014.05.30 Friday

    館林探訪(その2)

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       前回の続きです。
       本町近辺は戦前からの土蔵や看板建築などの他、戦後昭和期の典型的な建物なども色々。どれも2014年2月頃の撮影です。 

                        ****

      ■永寿堂医院
       まずはタイルとステンドグラスの外装が美しい1924(大正13)年建築の建物。ゼツェッション的な趣きの外装が上品で美しい。しかし建物は医院としての使命を終え、売り物件の看板がなんとも淋しげ。心ある人が救ってくれるように、と祈る。
          

        





      ■旧丸山本店
       典型的な看板建築ながら、ペディメントの細工が細かくて綺麗。
         



      ■旧森牧商店
       こうした店があるだけで昔からの商店街全体の賑わいがなんとなく想像できる。実物にまさる証拠はないということか。




      ■蓼沼洋品店
       構成主義風の外装による1934(昭和9)年築の商店。昭和初期、モダンであることは善であり夢のような新生活が約束され・・・といった夢を外観のアイコンとした、というよくあったパターンのひとつに該当しようか。巷にはフラット屋根の建築に見せるため、勾配屋根の住宅をわざわざ四角い看板で覆った商店は数知れないほどあるのだが、その延長上にありつつもよく出来た建物、と感じた。

          

          



      ■某商店ビル
       1階が店舗のRC造の建物。1960年代の建築であろうか。高度成長期に賑わう昭和の光景が目に浮かぶ。




      ■某店舗
       上の建物に並んで建つこちらは、1970年代以降の店舗であろう。当時の未来イメージが反映されているのか、地上から浮上するようなイメージを上手に建築化したと思う。

        


      ■某そば屋
       雰囲気あり過ぎで思わずシャッターを押してしまった。味わい深いたたずまいも良いが、屋根をよく目を凝らして見ると、平べったい瓦の形状と葺き方は、長年の変化を度外視したとしても、他で見たことのない不思議なもの。







      ■旧NTT(現館林水道センター)
       モダニズムの造形そのものの元電話局。戦後建築の局舎のようだが設計したのは誰なのか少しばかり気にかかる。







      と、目につくがまま気軽に撮った館林の探訪記録でした。




       
      2014.05.19 Monday

      館林探訪(その1)

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         城下町として古い歴史を持つ群馬県館林市の市街地は、古い土蔵が散見され古い木造家屋の多い落ち着いた雰囲気の町。明治から昭和にかけての典型的な建物がよく残っている。
         2年前に菊竹清訓設計の旧・館林市庁舎を見る目的で訪れたのが最初なのだが、その道すがら撮った建物やその後に再訪した時の撮影分などを、2回に分けて探訪記録の形でUPしておきたい。

                       ****

        ■東武鉄道館林駅
         探訪の始まりは駅舎から。1937(昭和12)年建築の駅舎の東口はきれいにお化粧直しをされてたたずんでいる。片や西口の方は再開発に合わせて雰囲気を残しながらも新しい駅舎となっている。
         ホームの屋根を支える古いレールもなかなか。レールの製造年代はみつからず。

          
         
             

        ■館林駅変電所
         駅東口のそばにある古めかしい建物は1927(昭和2)年に建てられた変電所。

          


        ■現・某選挙事務所
         予備知識なしで通りすがりにこのような建物に遭遇したときは、思いがけない収獲に驚きと感動。昭和初期の味を濃厚に湛えるしかも上質の建物。

          

          


        ■旧・館林信用金庫本店(現・館林市民センター分室)
         さらに、こうした素晴らしい建物に遭遇すると町全体が文化的香りの高い地であるようにどうしても思えてくる。だがネット上を色々あたったりしても旧建物名と1934(昭和9)年竣工位の情報しか得られないのが不思議。それにしても竣工当時の状況下つまり既存の様式建築にモダニズムの考え方が流入した時期に、これだけのデザイン力を発揮した設計者は一体誰なのだろう。特にディテールは創造性に富んいて面白く、個人的には「群馬のスカルパ」と呼びたいほど(失礼、こちらの建物の方が先輩か)。

          


          


          


           


              

        (続く)






         
        2014.02.14 Friday

        中村映劇

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          昭和初期(?),愛知県名古屋市中村区,現存(撮影:2012年)

           前回に引き続き映画館をもう一件。こちらは名古屋市中村区の「中村映劇」。その名が示すように、戦前は芝居小屋であったのを現オーナーの祖父が購入し、戦後に映画館として再興したとのこと(hp「港町キネマ通り」参照)。
           建物は戦前からのものであることは間違いないようである。正確な建築年代は不詳。


           特徴はご覧の通りの屋根形を縁取る帯状の装飾。これについては、あるブログに興味深い発見が記されていた。装飾を良く見ると中央にはムカデの図柄の紋、そして装飾化された「旭座」の文字が見えるというのだ。確かにそう読める。(ブログ「まちかど逍遥」参照)。
           これについてほんのちょっと推理してみたい。調べてみると、映画館が建っている辺りは戦前までは「中村遊郭」と呼ばれ賑わっていた。現在でもそれを偲ばせる雰囲気が、古びて息を潜めながら生き残っている。遡れば中村遊郭は大正12(1923)年に、明治期から栄えた大須観音周辺の「旭遊郭」から集団移転して来た経緯があるとのこと。恐らく移転前の地の「旭」の文字を、移転した中村の芝居小屋の装飾にも使用したのではないだろうか(真偽を示す証拠までは見つからないが)。もし正しければ、大袈裟に言えば、名古屋の花街の変遷史の一端を示す生き証人のひとつなのかもしれない。



           



           この一帯、華やかかりし頃を偲ばせる年老いた昭和の風景(映画館向かいの店(↓),大門横丁(↓↓))は、白昼の下で余計物悲しいものがあった。ただ日が暮れて懐かしいネオンが灯る時刻になれば、成人映画に特化した営業形態の映画館も街も、恐らく生気を取り戻すのであろう。いやそちらが本当の姿であったか。そんなちょっとした期待を抱いてその場を後にした。



              

           
          2013.12.06 Friday

          下関あれこれ

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             早いものです。暦の上ではディセンバ―突入ですが、いかがお過ごしでしょうか。今回は、2010年に山口県下関市を訪れ散策した際に見かけた中から、ちょっと捨てがたいと感じた知られざる(あるいは少し知られた)建物を、感じたままにいくつか載せることとします。

            ■下関市庁舎 旧・教育委員会棟 (1958(昭和33)年)



             下関市庁舎は、1951年の公開コンペの最優秀案による建物であり、その経緯については以前取り上げた。設計者は田中誠+進来廉+崎谷小三郎ら前川國男事務所の所員であり、個人の資格で設計に関与、本館を第1期として建築、間隔をおいていくつかの棟が順次建築されていった。
             そのうちのひとつがこの教育委員会棟であり、本館に隣接して建てられていた。確かにコルビュジエ風を思わせる部分もあるので田中誠らコンペ入賞者が設計したように感じられるが、確かな証拠に基づいて言っているわけではない。現在、庁舎の整備計画によって解体されこの棟は既に無い。


            ■下関第一ビルディング



             下関駅の近くにある店舗+集合住宅。昭和30年代の頃の建物なのだろうか。正確な竣工年は分からずにいる。戦後建築が持つ、モダニズム建築としての衒いの無さに惹かれる。


            ■関門ビル(旧・関門汽船ビル)(1931(昭和6)年)

             唐戸地区の繁栄を偲ばせる建物のひとつ。


            ■関門トンネル人道出入口(1958(昭和33)年)

             1937年試掘開始、1939年完了、1944年貫通、1958年開通と戦争を挟んで時間をかけてつくられた、我が国における画期的な土木構造物である関門国道トンネル。(もう一方の関門鉄道トンネルは1942年開通)
             地下や海底下のトンネルを地上部において建築構築物として確認できる部分と言ったらこれであろうか。下関側、門司側に似た建物が一対ある。
             外観上は特段面白さを感じるわけではないのだが、上述したような画期的な構造物であれば、よく調べれてみれば思いがけないことが分かりそうな変な予感がする。というわけでバスの車窓から撮った一枚をUP。


             
            2011.05.07 Saturday

            京浜東北線 駅舎散歩2題

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               電車の中でふと思いつく。仕事のたびに通過してしまう駅をふらりと降りてちょっと一息しようかな。白昼、ネクタイ締めた会社員による「ひと駅散歩」とはいかぬまでも・・・。
               するとピロティ&横長連続窓のイメージを下敷きにしたような建物に出会ったりして、私にとってはそれだけでちょっとした気晴らしになったりする。モダニズムによる建築もいつしか様式化されてゆく暗黙の流れを示す典型例であろう。一体いつごろ建てられたのか。
               後日調べてみようと図書館に行ったならば、旧・国鉄が約10年に一度のペースで数回刊行した記録『国鉄の建築』をみつけた。相当な規模の技術陣を擁し栄華を誇っていたと思しき頃のぶ厚い本もあれば、民営化直前の薄い小冊子もある。そして今や旧・国鉄は忘れられ駅舎だけが残る。

                 *********************************************************
              ←左は北浦和駅西口。『国鉄の建築』の年表に1968年竣工と出ているのがこれだろう。設計を担当した部局
              や個人名は判らない。駅舎の建築はいくつかの工事局が担当していたようであり、例えば「東京第一工事局」というのを比較的目にするのだが、そこがこの駅舎を担当していたとは限らない。


               この西口から北浦和公園、県立近代美術館(黒川紀章設計)に通ずる。また、近くに西口開設記念碑があった。第4代国鉄総裁十河信二の揮毫による。

               ************************************************************
              ←こちらは駅西口。1967年竣工。穴あきブロックが美しい。駅舎のファサードにこのような造形性が許されたことだけでも立派、などとひとり勝手に感心する。
               ここにも下のような記念碑がある。

                  




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