2008.09.01 Monday
『検見川送信所を知る会』第3回イベント
8月30日に『検見川送信所を知る会』による第3回のイベントが開催された。
2月に行われた前回のイベントから送信所をめぐる状況も変化しており、まずDOCOMOMO Japanの2007年度選定建築物に加わり、日本建築家協会関東甲信越支部からも文化財指定を求める要望書が千葉市に提出された。送信所の現状は区画整理地域内における中学校用予定地のままだが、市側も現状では中学校建設の必要性は薄いとして計画見直しの意向を示している。今後は保存活用のあり方が課題となることを見据えつつ、文化遺産としての継承を宣言するイベントであった。
今回、保存要望はもとより利活用や周辺環境整備を求める要望書が、提出に先立って披露された。送信所は劣化が進み適切で早急な補修が必要だが、なによりも周辺で暮らす人々にとって安全な環境作りが切実な問題であることを、送信所に固有の事情として重視している。もともと送信所と近隣住民との繋がりはあまり濃いものだったとは言えず、さらに空き家として放置されたままの昨今の状況は不安をもたらしても仕方ない状態にあり、その改善は必須だ。
だからこそ今、『知る会』としても地元の人々に思いを致し、融和を大切にしたいと考えている。
『知る会』代表の仲佐秀雄氏は、地元在住ながら放送通信関係の学術的な専門家でもある。これまで地元の小学生たちとのふれあいを通して検見川送信所のことを伝える活動を積まれてきたが、今回、そうした活動を振り返りつつ仲佐氏自ら作られた送信所一帯のモデルが披露された。鉄塔や空中線の配置が再現されている。私のような者にとってはこうした機械的な部分についてはその意味合いや本当の価値は分からないのかもしれないが、それでも相当な範囲で設備機器が広がるあたりから、国際通信を目指す施設とはこのように壮大なものであったと思い知らされた。
さらに送信所OBの岩佐氏も登壇して解説も交えながら職員当時のことを語られた。通信にかけた技術者の熱い思いが伝わってきた。
私もこれに刺激されたのか、『検見川無線30年史』に掲載されていた昭和14年当時の指向性空中線の配置図を下敷きに、鉄塔や木柱を赤丸で、鉄塔間に張られ電波を発する空中線を赤線でなぞってみた(下図)。大きな赤丸ほど高い塔で90mほどあり、低いものでも30mある。ここから海外の様々な地域に信号が届けられたのだが、空中線それぞれがひとつの地域の方角に対応するようなのだ。まるで送信所建物を中心としたミニチュアの世界のようにも見える。
吉田鉄郎も、人々の様々な思いが空中高く放たれていく様を心に思い描きながら、建物をデザインしていたのだろうか。
2月に行われた前回のイベントから送信所をめぐる状況も変化しており、まずDOCOMOMO Japanの2007年度選定建築物に加わり、日本建築家協会関東甲信越支部からも文化財指定を求める要望書が千葉市に提出された。送信所の現状は区画整理地域内における中学校用予定地のままだが、市側も現状では中学校建設の必要性は薄いとして計画見直しの意向を示している。今後は保存活用のあり方が課題となることを見据えつつ、文化遺産としての継承を宣言するイベントであった。
今回、保存要望はもとより利活用や周辺環境整備を求める要望書が、提出に先立って披露された。送信所は劣化が進み適切で早急な補修が必要だが、なによりも周辺で暮らす人々にとって安全な環境作りが切実な問題であることを、送信所に固有の事情として重視している。もともと送信所と近隣住民との繋がりはあまり濃いものだったとは言えず、さらに空き家として放置されたままの昨今の状況は不安をもたらしても仕方ない状態にあり、その改善は必須だ。
だからこそ今、『知る会』としても地元の人々に思いを致し、融和を大切にしたいと考えている。
『知る会』代表の仲佐秀雄氏は、地元在住ながら放送通信関係の学術的な専門家でもある。これまで地元の小学生たちとのふれあいを通して検見川送信所のことを伝える活動を積まれてきたが、今回、そうした活動を振り返りつつ仲佐氏自ら作られた送信所一帯のモデルが披露された。鉄塔や空中線の配置が再現されている。私のような者にとってはこうした機械的な部分についてはその意味合いや本当の価値は分からないのかもしれないが、それでも相当な範囲で設備機器が広がるあたりから、国際通信を目指す施設とはこのように壮大なものであったと思い知らされた。
さらに送信所OBの岩佐氏も登壇して解説も交えながら職員当時のことを語られた。通信にかけた技術者の熱い思いが伝わってきた。
私もこれに刺激されたのか、『検見川無線30年史』に掲載されていた昭和14年当時の指向性空中線の配置図を下敷きに、鉄塔や木柱を赤丸で、鉄塔間に張られ電波を発する空中線を赤線でなぞってみた(下図)。大きな赤丸ほど高い塔で90mほどあり、低いものでも30mある。ここから海外の様々な地域に信号が届けられたのだが、空中線それぞれがひとつの地域の方角に対応するようなのだ。まるで送信所建物を中心としたミニチュアの世界のようにも見える。
吉田鉄郎も、人々の様々な思いが空中高く放たれていく様を心に思い描きながら、建物をデザインしていたのだろうか。
- コメント
- 最後の地図はまさに「蜘蛛の巣」というべきものですね。
これは大きな画像がありますか?
もし、よかったら、送って下さいませんか?
資料として保存させていただきたいと思います。
仲佐さんの作られた模型は非常にわかりやすいですよね。これも素晴らしいとは思うのですが、建築の模型造形師の方に作っていただければ、資料となりますね。
こういう模型はいくらくらいかかるものなのでしょうか?
追伸
記事中には「仲佐さん」が「中佐さん」となっているところがありました。 -
- 久住コウ
- 2008.09.03 Wednesday 23:28
- 「馬場はるとその周辺」 (2,000円+税、中村印刷工業株式会社) が刊行されました。
富山市名誉市民・実業家・社会事業家故馬場はるについての富山県の歴史家 大村歌子氏の著作。
・旧制富山高等学校の創立のための寄付
・ヘルン文庫 (ラフカディオハーン [小泉八雲] の蔵書) の寄贈
・吉田鉄郎設計の一連の馬場家住宅群
の貴重な文献・読み物です。
これまで知られなかった、馬場はるの第二の故郷 南砺 (福野・井波・城端・福光) と馬場はるとの関わりが、数々の新資料を基に詳記されます。福野は、馬場家に近い親戚として最初から最後まで出てきます。吉田鉄郎設計の山田家洋館増築についても記述があります。また、赤間三兄弟そろい踏みです。
以下、北日本新聞の紹介記事です 3/9。
603-8208 京都市北区紫竹西桃ノ本町21-1
山田正彦
075-468-1228 Masahiko.yamada@kaneka.co.jp 
お問い合わせ・購買については著者大村歌子様へ
『馬塲はるとその周辺』 1冊 2,000円 + 消費税 = 2,200円
注文先 大村歌子
住所 〒939-3502 富山市水橋川原町78
電話 076-478-0702
携帯 090-3299-9064
メール ohmura@pf.ctt.ne.jp
送料 実費との事。
1冊 スマートレター 180円
2冊〜4冊 レターパックライト 370円
5冊以上はゆうパック、宅急便で対応。
振込 郵便振替口座 (郵便通帳のある方) 金融機関コード9900
店名 三二八 (読みサンニハチ)
店番 328 (支店コード)
預金種目 普通預金
口座番号 0357290
口座名義 大村歌子
郵便通帳からの振込料 ATM 100円; 窓口 146円]
ゆうちょ銀行以外の金融機関からの郵便通帳への振込の場合、振込料は送金額により異なります。
郵便一般振替口座 (郵便通帳のない方 払込用紙使用)
口座番号 00700-0-16625
加入者名 大村歌子
払込取扱票 ATM 152円; 窓口 203円
-
- 山田正彦
- 2021.03.16 Tuesday 14:14
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- 「検見川送信所、文化遺産宣言」
- このところ、ブログの更新が止まってしまった。というのも、「検見川送信所を知る会」
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- モレスキンとめぐる冒険
- 2008/09/01 9:02 PM
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- ここは本家サイト《分離派建築博物館》背 後の画像収蔵庫という位置づけです。 上記サイトで扱う1920年代以外の建物、随 時撮り歩いた建築写真をどんどん載せつつ マニアックなアプローチで迫ります。歴史 レポートコピペ用には全く不向き要注意。 あるいは、日々住宅設計に勤しむサラリー マン設計士の雑念の堆積物とも。
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