収蔵庫・壱號館

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望田(もちだ)ビル

        
1979年(?),東京都新宿区,藤井博巳,非現存(撮影:1982年)

 例えば、「物語」や「小説」のたぐいが、語り手によって限定した意味内容を一方的に読み手に伝達することで成り立っているのに対して、「詩」の世界は、様々なレトリックによって操作された言葉の集積と言って良いだろう。「詩」は元々、たったひとつの結末を想定しているのではなく、読み手も謎解きの如く意味を探ったところで仕方が無い。芭蕉の俳句を字義通りに理解し、事足れりとして喜ぶ人などいないように。つまり、詩の意義は、いかに自由にイマジネーションを展開させ、新たな意味を生産させ得るかに置かれており、またそれが魅力でもあるだろう。

 藤井博巳による1970年代後半の「変形」のプロジェクトシリーズでは、特に無意識の自己を呼び覚ます近代詩の場合と同様の意味で「意味の生産」を目指しており、この望田ビルもその実作のひとつであった。
 「変形」とは形を歪曲するだけではなく、習慣化された既成の意味のしくみに対して、「ズレ」とか「内外の反転」その他色々な操作を建築要素に加えることに拠っていた。こうした操作を文学になぞらえるのならば、「隠喩」や「換喩」などのレトリックが相当するのであろう。
 しかしこの「変形」の試みは、語る主体を想定しない非人称のメカニズムとして、「機械」のようなあり方が目指された点が重要であった。そういうことなので、これは従来的な意味の表現行為ではない。本質的な意味において、何も語られることは無く、操作された断片が認められるだけなのだ。

| 1970年− | 19:45 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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