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【記録】検見川送信所内部視察記(2)


 引き続き検見川送信所内部の画像をご紹介する前に、一応、間取りを示したい。上図は、唯一伝わる古い1枚の平面図に基づいて作ったものであり、従って図面に書かれていた室名は、送信所が業務を始めた当初の頃のものということになる。恐らく、当初の室名通りに使用された期間はそう長くは無かったはずで、新技術の導入による内部の改造と共に変化していった。
 ある程度目立った改変部分としては、北側の機械室の吹抜けの空間が床で塞がれた点が挙げられよう。吹抜けであった範囲は2階レベルの板張りの床となり、北側中央の開口から、昭和12年築の棟(これも吉田鉄郎の設計による。非現存)に渡り廊下で結ばれた。現在も、ところどころ穴の開いた木の床が残っていてとても危険な状態であった。
 前回の記事(1)で示した画像は、2階の廊下、2階の真空管倉庫の出入口、1階便所の窓、2階発振室付近であった。
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 左上の画像は階下の発振室、つまり1階の窓。窓の上部に、碍子が残っている。通信施設らしさを名残りとして留めているのは、これが唯一かも知れない。右上の画像は2階の発振室だが、この小さな開口部から外の空中線につながるケーブルの束が送り出されていたらしい。つまり、ここから世界に向けて「声」が放たれていった。

 右は天井の詳細。全てではないが、梁にこうした繰り形風の縁取りがある。恐らく当時の電話局など他の建物で常套的なデザインだったのだろう。
 細かいところで様式的な部分が残っているあたり、時期的にはモダニズムへの過渡期であったことを示しているように思う。
 それにしても、施工の良さには感心してしまう。「機械が住むための建築」であるにもかかわらず。

 下の2枚は、階段室付近の腰壁手摺。最近の建物では見かけなくなった現場砥ぎテラゾーで仕上げられている。人の手などが直接接触する部分だからなのか、とても滑らかに仕上られている。天端部分の断面形状まで、パラボラ(放物線)形になっている。
 右下の1階階段の足元部分は、巾木などもカーブを描きつつ、きっちり納まっていて気持ちが良い。建物の本当の価値は、このように要素が混み入った細部が雑然とするか、きれいに納まっているかで決まると教えられたものだが、まさにその通りだと思った。

              

 2階のメインの入口扉。当初の写真では半円窓が多数あしらわれたデザインだったので、この扉は2代目以後のものだろうか。扉はこうした窓付きで淡緑色のタテ羽目板張りが基本だったようである。
 吉田鉄郎は、戦時色が強まり資材統制が行なわれた時期に、いくつかの木造建築物を羽目板張りの外装で設計していた。もしも、それらとこの扉のデザインとの間に共通した部分が見出せたら、どんなにか素晴らしいだろう。

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