収蔵庫・壱號館

日本の20世紀をメインとした建築画像の保管庫
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ヒルポートホテル

1982年,東京都渋谷区,原広司,非現存(撮影:1982年)

 学生時代を思い出せば、最初の建築史の講義が始まる前は結構ワクワクしたのだった。なにせフランス帰りのM氏が我が大学で初めて教鞭を執ることになり、(当時はボロクソに言われていた)我々同期がよりによって初の講義を聴く栄誉に浴したのだったから。M先生はセーターを肩に引っ掛け颯爽と教室に現れ、皆を唖然とさせつつ講義をこなしたかと思えば、午後は都内で見学会をするとの予定を軽く告げた。そんな豪華な一日が週に一度は巡ってきた。
 竣工直後の原広司のホテルに立ち寄ったのも、そうした授業延長の見学会の時のこと。建物はとっくに無いらしい。

 世界の集落調査を行なった原は、東京都心のホテルをどう捉えたのであろうか。左右対称でごく控えめな屋根形部分を持つファサードは、おそらく共同体を秩序付けるシンボルとして適用されたと思われる。内部においては、都市が入れ子状に埋め込まれたか、虚構の世界へと誘われる雰囲気だ。
 都市という、均質で事実上秩序付けから放り出され隔絶された個人が行き交う場に、集落空間の構造を適用するということは、そこに予定調和的ではない未知の世界を現出するジェネレーターのような役割を与えているのかも知れない。ひとつの成果は、その後の発展形として名高い京都駅駅ビルに示されることになったように思われる。例えば、そのいまだかつて無い場を真夜中に訪れた際に思いがけず感じた、闇に潜む男女の群れと共有した自由な空気などとして・・・。




 
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