収蔵庫・壱號館

日本の20世紀をメインとした建築画像の保管庫
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ナカノ洋品店(旧・中野煙草元売捌所)
 
1917年,福島県いわき市,三森己代松,2011.5月解体(上から2枚目まで2010年5月の撮影)


 東北地方太平洋沿岸を襲った地震と大津波の被害が動画や画像がUPされ、様々な地域で起こった目を覆わんばかりの悲惨な状態が明らかになり愕然とする日々です。しかし、なお必死で生きあるいは救援活動をされている人々には心より応援申し上げるとともに、残念なことに命を落とされた皆様に心より哀悼の意を表したく存じます。

 今まさに人命や破壊された社会共同体をつなぎとめようとしている段階にあって、あるいは建物などの文化的な側面の保全状況に目を向けるどころではないのかも知れないが、しかし人間の長い営為を刻んだモノの安否を問い記憶をつないでいくことが大切であることには変わりないであろう。
 例えばこの「ナカノ洋品店」は、いわき市平2丁目の繁華街にある。実は私がいわきに住んでいた頃から、珍しい昔の建物として目立っていて学校の行き帰りなどになんとなく気にしながら通り過ぎていた。最近は古い建物が減ったせいか貴重な存在として見直されているようだ。おそらく地元の棟梁が独自の感覚で成した洋風建築として高く評価されているのだろう、きれいに化粧直しされて現在に至る。しかし、評価のポイントはそれだけではないようだ。
 今まで全く気付かなかったのだが、ネットで調べると、郷土の詩人草野心平がまだうら若き青年時代、すなわち大正末期頃、草野心平と同人達のたまり場つまり詩作のサロンだったそうなのだ(*1)。
 ちなみに詩人草野心平は、戦前より同人誌『歴程』を中原中也らと創刊し、あるいは宮沢賢治の作品紹介にも務めた。

それが3・11以後は、↓↓↓↓↓↓↓↓
  左の画像は、現在地元いわきで議員を務めている私の高校時代の部活の先輩のブログに掲載されているのを発見、拝借した画像(先輩、無断で拝借ごめんなさい。)他にも信じられないような惨状が記録されている。
 地震そのものが建物に与えた爪痕も思ったより深かった。ただしダメージを受けたものの「ナカノ洋品店」のような大正モダンを謳歌した地元文化の拠点であった大切な文化財などをはじめとして、必ずや手厚い補修の措置がなされ復興されるよう願ってやまない

                          ***

【後日記】:2011年5月、残念ながら隣の堀薬局共々解体撤去されたそうです。




   *1:HP「遠富士の詩人俳人」参照、『いわきの詩風土と草野心平』(北条常久)による





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