収蔵庫・壱號館

日本の20世紀をメインとした建築画像の保管庫
<< 群馬県立近代美術館 | main | つくばセンタービル >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |
北九州市立中央図書館

1974年,福岡県北九州市小倉北区,磯崎新,現存(撮影:2010年)

 まずは、のたうち回る2本のチューブありき。たまたま納められた機能は1本のチューブについては図書館であり、他方は歴史博物館であったに過ぎない。だからであろうか、元々は歴史博物館であったのがここを訪れた時は既に北九州市立文学館に入れ替わった後だったのだが全く違和感などは無かった。はじめから文学館だと思っていた。
 「形態は機能に従う」という箴言をみごとに嘲り倒すこうした建築が生み出されたわけだが、磯崎いわく「ねずみ花火」が旋回しながら飛び跳ねる軌跡を写真に撮って建築の形にしようと試した、ということがどこかに書かれていた。勿論、ねずみ花火の企ては失敗に終わったそうだが。
つまり幾何学的な構成に頼ってきたモダニズムの建築に対して、敢えて連続性だけを扱ったトポロジー空間を持ち出して新たな建築の可能性を探ったのだと思う。
 3ヒンジアーチのPC版が果てしなく連続し、そこにリブヴォールト的なイマジネーションを生み、ある意味ゴシック的というかスタイリッシュな建築空間一般がもたらす感動が何気なく織り込まれているという具合。そして「湾曲」,「並置」,「切断」といった独自の建築的レトリックが用いられて建築となる。

 冗長なのはこの建築の持ち味でもあろうが、いくつか意味の切れ端のような部分も仕込まれている。おなじみのモンローカーブあり、あるいは三浦梅園による「玄語」の図式に基づくとされるステンドグラスなど。
            
 私は、なかなか行く機会の無い九州を訪れてやっと磯崎新の作品に接することができたわけだが、驚いたのは広々としてきれいな環境であったことである。聞けば勝山公園の芝生広場が整備され完成したのは2006年のことであり、これは竣工時とは違う再整備された風景なのであった。
 折角きれいに整備してきた方々の努力を批判するつもりは全く無いのだけれど、コンクリートの外壁に蔦が這っているのを見て思った。恐らく作者はコンクリートの外壁が蔦で埋もれ銅板葺きの屋根が緑青で暗く落ち着いた光景、つまり建築としての際立った形を失った「廃墟」としての姿を真に完成した姿として想定しているに違いないであろう、と。戦前に立原道造が廃墟となるのを想定して設計すべきと主張したことを、まるで忠実に実践するかのように。
 そういうわけで、10年後位にもう一度訪ねてみたいと思った。

     





 
| 1970年− | 22:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
| - | 22:17 | - | - | pookmark |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://20thkenchiku.jugem.jp/trackback/318
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
叢書・近代日本のデザイン 25 [大正篇]
叢書・近代日本のデザイン 25 [大正篇] (JUGEMレビュー »)
分離派建築会,関西分離派建築会
「分離派建築会」作品集3刊の、初の復刻本が刊行されました。末尾の解説文は私が担当しました。
収蔵庫・壱號館
ここは本家サイト《分離派建築博物館》背 後の画像収蔵庫という位置づけです。 上記サイトで扱う1920年代以外の建物、随 時撮り歩いた建築写真をどんどん載せつつ マニアックなアプローチで迫ります。歴史 レポートコピペ用には全く不向き要注意。 あるいは、日々住宅設計に勤しむサラリー マン設計士の雑念の堆積物とも。
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
モバイル
qrcode
LINKS
PROFILE