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昭和第一高等学校(旧・昭和第一商業学校)増築部

  

   

 

       

    1937年,東京都文京区,石本喜久治,現存(撮影:2016年)

 

上の画像(▲▲)が現状、上から2番目の画像(▲)は竣工時。
外堀通り沿いに見えるややゴシック風の既存棟(▼)の裏手の同敷地内にモダニズムの棟が増築されていて、それは戦前の石本建築事務所の設計によることが判った。比較して分かるように現在の道路側外壁面には煉瓦色のタイルが貼られ、屋上のパーゴラ風のフレームは取り去られている。(既存建物とは別棟ではあるが、ここでは当時の図面タイトルに合わせて「増築」と称した)


石本建築事務所の『50年の軌跡』巻末の作品年表を見ると「昭和第一商業学校」との記載があり、そのことが以前から気になっていた。そしてつい最近、石本事務所に行って調べる機会があり同事務所で増築工事を担当していたことが判明、海老原一郎の押印のある図面や竣工アルバムが残っているのを見出した。そして了解を得てここに掲載した次第。

 

                   

 

戦前期に石本喜久治が設計した作品は、数が多いにもかかわらず商業系の建物が多かったためか現存建築物は少ない。残っている建物を挙げると、以前取り上げた「旧・白木屋大塚分店(現・大塚ビル)」が外壁表面を金属パネルで覆われつつ残っている他、横須賀の「旧・海仁会病院(現・聖ヨゼフ病院)」は立原道造が計画に関与した建物でもありドコモモの認定建築となっている。他に石本の卒業設計「涙凝れり」の実施版を思わせるコンクリート造の石本家の墓標が大阪にある、といったところであろうか。数年前に解体された芦屋の松橋邸は密度の濃い戦前モダニズム住宅であり、しかも家具、照明器具からカーペットまでアールデコ装飾でデザインされた石本らしさがほぼそのまま残る作品であっただけに大変惜しまれた。


そうした現存状況から考えると、この現昭和第一高校の増設棟は必ずしも凝った作品とは言えないかもしれないが、数少ない現存建物として貴重であろう。特に正面ペントハウスの「塔」が残っていたことは喜ばしい限り。

 

    

 

 

    

 

(上の画像は建物裏側の現状(▲▲)、そしてモノクロ画像(▲)は竣工時のもの。一部再増築されたのがわかる)

 

石本作品の特徴として、戦前のビル建築のには必ずと言ってよいほど「塔」あるいは「搭状のペントハウス」が付いている。どうも旧朝日新聞社屋や日本橋の白木屋以降そうした傾向が続いたようである。

そのようなわけでこの現・昭和第一高等学校においても、見ての通り屋上中央に塔状のペントハウスが残っている。しかも1930年代の石本建築に見られるやや新古典主義風の特徴がここでも示されている。

 

屋上から下をモダニズムのデザインとし、屋上から上の屋根部分を時代状況に合わせ、あるいは施主の好みに合わせて造形上の操作を加えるのは、1930年代以降の民間設計事務所にとって生き残るに必要な道であったのか、と思わずにいられない。あの分離派の闘将石本喜久治でさえも。

 

 

 

 

 

| 1930年− | 11:58 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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