2013.12.20 Friday
芝浦工業大学大宮図書館
1971年,埼玉県さいたま市,沖種郎(設計連合),現存(撮影:2009年)
芝浦工大大宮キャンパスの最奥部、鬱蒼とした林に溶け込むように建っている。
掲載誌(*1)の解説によれば、開放的な空間と利用者主体の閲覧方式という主旨に基づくいくつかのアイデアによって計画されたことが分かる。全館開架とされ、建物の開放性は構造体つまり内部にある2列の長大なボイドウォールとボイドスラブが受け持つことによって解決された。自由なプランニングと見通しの良さが可能となり、外壁面にも大きな開口部がとられ、外の木立の景色を存分に味わうことができるようになっている。
設計者の沖種郎は、丹下健三のもとで戦後の著名な作品の計画に関わり、「図書印刷原町工場」や「香川県庁舎」などを担当した。独立後は大谷幸夫と「設計連合」を組織し、1963年の国立京都国際会館のコンペでは1等を獲得し実施された。
芝浦工大との関わりは1959年から教鞭を執りはじめたところから始まっていた。私が同大学に入学した頃には退職の時期であったようで、最終講義をこの図書館の視聴覚室で拝聴したことを覚えている。(確か旧東京都庁の計画その他様々な話が披露された。ただ残念なことに入学して間もない私には多くを理解できなかったのか、その程度の記憶しかない。)
卒業後数十年経て図書館の前に立ちその姿を見た。しかしその姿は特に綻びた様子も無く以前と同様、という印象であった。
*1:『建築文化』1971年12月号
2013.12.06 Friday
下関あれこれ
早いものです。暦の上ではディセンバ―突入ですが、いかがお過ごしでしょうか。今回は、2010年に山口県下関市を訪れ散策した際に見かけた中から、ちょっと捨てがたいと感じた知られざる(あるいは少し知られた)建物を、感じたままにいくつか載せることとします。
■下関市庁舎 旧・教育委員会棟 (1958(昭和33)年)
下関市庁舎は、1951年の公開コンペの最優秀案による建物であり、その経緯については以前取り上げた。設計者は田中誠+進来廉+崎谷小三郎ら前川國男事務所の所員であり、個人の資格で設計に関与、本館を第1期として建築、間隔をおいていくつかの棟が順次建築されていった。
そのうちのひとつがこの教育委員会棟であり、本館に隣接して建てられていた。確かにコルビュジエ風を思わせる部分もあるので田中誠らコンペ入賞者が設計したように感じられるが、確かな証拠に基づいて言っているわけではない。現在、庁舎の整備計画によって解体されこの棟は既に無い。
■下関第一ビルディング
下関駅の近くにある店舗+集合住宅。昭和30年代の頃の建物なのだろうか。正確な竣工年は分からずにいる。戦後建築が持つ、モダニズム建築としての衒いの無さに惹かれる。
■関門ビル(旧・関門汽船ビル)(1931(昭和6)年)
唐戸地区の繁栄を偲ばせる建物のひとつ。
■関門トンネル人道出入口(1958(昭和33)年)
1937年試掘開始、1939年完了、1944年貫通、1958年開通と戦争を挟んで時間をかけてつくられた、我が国における画期的な土木構造物である関門国道トンネル。(もう一方の関門鉄道トンネルは1942年開通)
地下や海底下のトンネルを地上部において建築構築物として確認できる部分と言ったらこれであろうか。下関側、門司側に似た建物が一対ある。
外観上は特段面白さを感じるわけではないのだが、上述したような画期的な構造物であれば、よく調べれてみれば思いがけないことが分かりそうな変な予感がする。というわけでバスの車窓から撮った一枚をUP。
■下関市庁舎 旧・教育委員会棟 (1958(昭和33)年)
下関市庁舎は、1951年の公開コンペの最優秀案による建物であり、その経緯については以前取り上げた。設計者は田中誠+進来廉+崎谷小三郎ら前川國男事務所の所員であり、個人の資格で設計に関与、本館を第1期として建築、間隔をおいていくつかの棟が順次建築されていった。
そのうちのひとつがこの教育委員会棟であり、本館に隣接して建てられていた。確かにコルビュジエ風を思わせる部分もあるので田中誠らコンペ入賞者が設計したように感じられるが、確かな証拠に基づいて言っているわけではない。現在、庁舎の整備計画によって解体されこの棟は既に無い。
■下関第一ビルディング
下関駅の近くにある店舗+集合住宅。昭和30年代の頃の建物なのだろうか。正確な竣工年は分からずにいる。戦後建築が持つ、モダニズム建築としての衒いの無さに惹かれる。
■関門ビル(旧・関門汽船ビル)(1931(昭和6)年)
唐戸地区の繁栄を偲ばせる建物のひとつ。
■関門トンネル人道出入口(1958(昭和33)年)
1937年試掘開始、1939年完了、1944年貫通、1958年開通と戦争を挟んで時間をかけてつくられた、我が国における画期的な土木構造物である関門国道トンネル。(もう一方の関門鉄道トンネルは1942年開通)
地下や海底下のトンネルを地上部において建築構築物として確認できる部分と言ったらこれであろうか。下関側、門司側に似た建物が一対ある。
外観上は特段面白さを感じるわけではないのだが、上述したような画期的な構造物であれば、よく調べれてみれば思いがけないことが分かりそうな変な予感がする。というわけでバスの車窓から撮った一枚をUP。
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- 収蔵庫・壱號館
- ここは本家サイト《分離派建築博物館》背 後の画像収蔵庫という位置づけです。 上記サイトで扱う1920年代以外の建物、随 時撮り歩いた建築写真をどんどん載せつつ マニアックなアプローチで迫ります。歴史 レポートコピペ用には全く不向き要注意。 あるいは、日々住宅設計に勤しむサラリー マン設計士の雑念の堆積物とも。
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