収蔵庫・壱號館

日本の20世紀をメインとした建築画像の保管庫
旧・東京銀行集会所

1916年,東京都千代田区,松井貴太郎(横河工務所),1993年高層化建替え(撮影:1981年)

あの三信ビルと同じく横河工務所の松井貴太郎の設計による、丸の内に気品を添える建築であった。皇居にもほど近い日本の玄関口に位置する建物なのだが、過去の様式建築の名手達はそうした格調の高さを求められる場所柄にも細心の注意を払って計画したはずだ。
現在はというと、部分保存やイメージの復元と称された上で、本質的な部分が消去された形骸が高層ビルの足元に纏わり付く看板のような姿を晒している。勿論、それでも残すことに努力を傾注した人々を非難するつもりは無いのだが、私には、再現された建物に歴史的建築への敬意のようなものがやや欠けているように見えてしまう。
うわべの保存でお茶を濁したと言われても仕方の無いような開発で丸の内界隈が塗り替えられようとする今の時代を、子孫の代の人々は何と評するのだろうか。
| 1910年− | 23:03 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
旧・帝国製麻ビル
 
1914(?)年,東京都中央区,辰野金吾,非現存(撮影:1982年)

 関西旅行を無事終えてここで東京日本橋に戻った、というブログ上のストーリー立てのつもりなのだが、ただし、ここに取り上げたこの辰野金吾設計の建築は実は既に無い。

 元々辰野「堅固」と評される位に、彼の建築は壁がちで無骨に偏りがちであった。地震国という日本の特性を早くから知っていたからなのかもしれない。そういう理由かどうかはともかくも辰野の建築は建物の威圧感を薄めるべく、赤レンガと横帯によるピクチャレスクと言っても良いような装いに仕立てられることが多かった。
こうした建築が川沿いの水面に反映すれば、風景的魅力も引き立てられる。立地条件とうまく調和した点でこの建物は小さいながらも好きだった。

 写真は、学生の頃のF先生の設計課題「建築博物館」の構想を練るために、友人と町をうろついた時の記録。結局、この建築はネタにしなかったものの課題の評価はまずまずだったので、ごく個人的な理由でも思い出深いのだ。

| 1910年− | 15:56 | comments(5) | trackbacks(0) | pookmark |
岩手銀行中ノ橋支店(旧・岩手銀行本店本館)
       
1911年,岩手県盛岡市,辰野金吾,現存(撮影:1981年) *国指定重要文化財

川に沿って美しくデザインされた建築があると、旅人にとって町全体が良い印象に映るようだ。先に紹介した盛岡の岩手県民会館の中津川を挟んで、一方でこの赤レンガ建築が目を惹いていた。
ほとんどそれだけの理由で撮影しておいた写真だったが、辰野金吾による希少な建築として重要文化財とされ、しかも当初からの銀行の機能を継続している。やはり撮っておいてよかった。

| 1910年− | 15:53 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
神戸郵船ビル(旧・日本郵船神戸支店)

1918年,兵庫県神戸市中央区,曾禰中條建築事務所,現存(撮影:2008年)

この時期の建築らしく、柱形が多いためなのか、簡素化の流れの一歩手前のある意味「基本に忠実な」様式建築の重厚さが伝わってくる。ただ、様式建築というものがどうしても完璧さを求める手前、ドームが空襲で失われたままなのは惜しいことでもある。
それでもこうして見回すだけで、こうした明治近代建築第1期生の作から、由緒正しい建築がずらり目に入る神戸の壮観は、やはりすごい。
| 1910年− | 21:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
旧・豊多摩監獄正門
 
1915年,東京都中野区,後藤慶二,正門のみ保存(撮影:2007年)

後藤慶二は、分離派や表現主義傾向のまさに発端となる建築家と位地付けられている。しかし工学技術者としてまた創造を目指すデザイナーとしての両刀の才の部分が、(彼の思索以上に)異常な位持ち上げられ、神話化された面があったのではないかと薄々感じる。
今のところ後藤についてはこの程度しか言えないので止めておく。ただ正門を訪れて見た時の煉瓦の細かい配慮や軒の納まりなどを見ただけでも造形面での凄腕の持ち主であったことは十分わかる。大正4年の建築なのに、昭和初期に風靡したはずのアール・デコチックな窓廻りデザインがあるのはなぜだろう。さらに、旧・小菅刑務所で蒲原重雄が設計した柔らかな光に満ちた雑居房空間は、既に後藤がここ豊多摩監獄で実現していたそうだ。
| 1910年− | 20:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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